【ラジエーションハウス 第8回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり)-だいぶ原作と変わってきたぞ-

画像診断、そして、どマイナー医療職の放射線技師をテーマした平成最後の月9ドラマ ラジエーションハウスが放送されています。

CTやMRIなどの精密医療機器、そして数々の専門用語が飛び交っています。

一般の方にもわかりやすい様に現役の放射線技師(@medical_presen)が感想と解説を述べます。

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第8回のテーマは??(ネタバレ注意)

腹痛で受診した女性。虫垂炎(盲腸)との診断で服薬治療の方針だった。しかし、カンファレンスで、その造影CTをみた唯織が「もう少し検査を、、、、」と主張。甘春先生とも意見が一致しMRIを追加することに、正しい診断は???患者さんの治療方針は???

そして、痙攣を繰り返す少女。治療効果判定のMRI検査をきちんと受けられるだろうか???

今回の“スーパー技術”

造影CTから虫垂炎ではなく腫瘍であることを考え、追加の検査(MRI)をして、素早く正しい診断に繋げたことです。本解説記事でも度々取り上げていますが、適切な追加検査をすることで正しい診断につながる症例は臨床で多々経験します。

たとえば、脳出血が疑われる症状の場合、CTで出血が認められない場合、次に疑うべき疾患は脳梗塞です。なので、技師から医師にMRIの追加を進言して確定診断に至るというケースは救急ではよくあるパターンです。

また、今回は痙攣発作をおこした少女への対処を的確に甘春先生へ指示しました。それによりエレベータからの救出後、すぐに痙攣を抑える薬が投与され、大事に至らずにすみました。

ドラマ内の補足が必要かもと感じた部分

小児のMRI検査

子供検査はとにかく難しいです。脳の画像診断は、CTかMRIが使いやすいわけですが、小児に被曝があるCTを頻回に行うことは避けたいので、MRIが第一選択になります。

MRIは被写体の動きにとても弱いので、長時間じっとしているのが難しい小児とは相性が良いとは言えません。また、親御さんもとても心配している状態なので、そちらのケアにも気を使います。

基本的には、鎮静といって、眠くなるお薬を使って、呼吸心拍をしっかりとモニターしながら検査を施行します。今回は甘春先生が検査に立ち会う予定であったと思われます。その方がお薬が効きすぎて呼吸が浅くなったときなに素早く対処でき、より安全な検査を行えるわけです。

小児(特に幼児)の場合、解剖学的構造や脳をはじめとする臓器の状態も成人とは異なるので撮像方法も気を使います。ぼくは小児の検査経験が乏しいので、その道エキスパートにお話を聞くと“大変だな〜”と、感心させられます。

鑑別診断は難しい

今回の女性の初期診断は虫垂炎でした。あれは誤診というわけではなく、症状と画像所見の両方から、もっとも一般的かつ妥当な判断とも言えます。個人的も、虫垂の腫瘍は何度かみたことがありますが、かなり大きくなった状態で発見されることがほとんどで、今回のように虫垂炎くらいの大きさのものはみたことがありません。腹痛は虫垂炎の最も一般的な症状でもあり、虫垂炎がもっとも当てはまる疾患とも言えます。

もし実際も症例の場合、お薬の治療をして、その後の経過観察のCTで虫垂が小さくなっておらず、“あれ、虫垂炎ではない??では、腫瘍??”となり追加の検査をして確定診断となると思われます。

確かに、一番はじめの検査で疾患を確定させることができれば、それが何よりなのですが、現実はそう甘くなく色々な過程を経て診断と治療が進んでいきます。

痙攣の発作

小児の症例では、繰り返される痙攣発作がみられました。痙攣が長時間続くと痙攣重責(けいれんじゅうせき)という状態になり、この状態になってしまうと70%程度に神経学的後遺症が残ってしまいます。後遺症は運動性の麻痺は知的障害といったもので、今後の生活に大きく影響します。

劇中では、エレベーターから救出後、ジアゼパムというお薬を使って痙攣の抑制を行いました。痙攣は脳神経の救急領域でよくみられる疾患と対処です。痙攣の場合、お薬で落ち着かせから脳の画像診断をおこないます。これは腫瘍や出血や梗塞がないか確認するためです。

薬やストレッチャーの指示を唯織がしていましたが、これは普通、救急医や担当医がしますね。「バレるからやめれ、、、」と思いながらみていました。ちなみに、この場面は原作とはだいぶ違いますね。

というか、原作追い越した???

興味があるかたは原作も是非にです。

痙攣発作時は脳に血液が行き過ぎる“過灌流”という状態になっており、異常な脳波形が観察されます。痙攣発作直後の脳血流画像は発作の焦点が真っ赤になっています。その後は一転して血流が低下します。このように脳の中の血流は驚くほどダイナミックに変化します。最近はMRIでも迅速に脳血流が観察可能です。

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ということで、今回は鑑別診断がメインテーマ、そして小児の痙攣がサブテーマでした。かなり原作とは設定が違ってきましたね。僕としては残り数回にどのような展開になっていくのかがとても楽しみです。あともう少しみなさんで楽しみましょう。