放射線技師が深く関わる画像診断を題材にしたドラマ「ラジエーションハウス」(月曜 21:00、フジテレビ系列)
がいよいよはじまります。
病院を題材にしてドラマ数あれど、いままでスポットのあたることのなかった分野なので社会からどのような反応があるのかとても楽しみです。
今まで取り上げられなかった理由は、
“医師や看護師と違い放射線技師はいまいちマイナーな医療職だから”、
という側面もあります。
そこで、今回は放射線技師の実務を紹介し、どんな難しいこと、どんな面白いことがあるのか、市中病院で働く現役の放射線技師が紹介いたします。
放射線技師と患者さんとの関わりは刹那的です。
同じ医療従事者でも患者との関わり方は職種によって様々です。
例えば、看護師さんは入院している患者さんと密にに関わる時間があります。
一定期間リバビリを担当する、理学療法士や作業療法士も担当する患者さんが決まっているので顔なじみになることが多いそうです。
時間をかけて信頼関係を構築した上で、仕事をすることができる職種かと思います。
一方で、
放射線技師は検査の時にしか患者さんと接しません。
しかも、患者さんは検査室の中、放射線技師は操作室(検査室の外)なので、
本当にわずかな時間しか患者さんと接する時間はありません。
何度も検査にいらっしゃる方は顔なじみになったりしますが、
検査を何度も受けなければいけない状況自体、あまり良いとは言えないので、
放射線技師と患者さんとの関わりは刹那的なのが正常なのかもしれません。

また、検査自体の機械の設定や画像を取得する時間自体は非常に短いものが多いので、
放射線技師が力量を発揮するのは、一瞬が勝負と言えます。
この辺は一般のカメラマンさんと同じような感覚だと考えいます。
放射線技師は嫌われても仕方ない。
画像検査は基本的に苦痛なものかもしれません。
画像検査に動きは大敵です。
MRIでは、20〜30分動けません。
しかも、乳腺の検査ではうつ伏せの姿勢で行ったりします。
これはかなり辛いと思います。
実際、ぼくも後輩の練習台にMRIを撮られる時は、30分を超えると結構辛くなってきます。
CTやMRIなので画像検査を受けるという行為は、
心理的な面も含め患者さんにとっては嬉しいことではないので、
それを施行する放射線技師は嫌われても仕方ないかな、と僕は考えています。
では、どこに喜びがあるの??
ここまでのお話では放射線技師の仕事の面白味は見出せないと思います。
とういうことで、ここからはポジティブな話。
ぼくが思う放射線技師の面白さは以下の二つです。
- 自分が行った検査結果が有機的に繋がった時
- 自分の工夫で画質が改善した時
自分が行った検査結果が有機的に繋がった時
繰り返しになりますが、ばくらの仕事は医療画像検査を行うことです。
“病気があるなら、ある”
“病気がないなら、ない”
とはっきりわかる画像を取得することが一番重要です。
患者さんとの関わりが、刹那的な放射線技師は検査の数十分が勝負です。
患者さんに嫌がられようとも、必要な画像を取得しなければいけません。
そうしないと、せっかく検査に来ていただいたのに無駄になってしまいます。
辛い思いをさせたなら、きっちりと”画像”という結果で返さなければいけません。
病気が見つかる、ということは患者さんにとって決してハッピーなことではありません。
むしろ、良くないことです。
でも、僕らの撮った画像で病気が正しく映し出されて、適切な治療に繋がる、そして、患者さんが元気に退院して行く、というサイクルを見ることができると、やっぱり嬉しいですね。
チームとして有機的に繋がることができたとき、少しは人のお役にたてたかな、という気持ちになれます。
放射線技師はかなり遠巻きですが、確実に患者さんの健康のお役にたてる職業だと思います。
自分の工夫で画質が改善した時
医療画像は先人の工夫の上に成り立っていると言っても過言ではありません。
CT、MRIの開発者はノーベル賞と受賞していますし、長い年月をかけて放射線科医、放射線技師、医療メーカーのエンジニア、研究者、それぞれの立場からのアプローチでの工夫が蓄積されて今日に至ります。
ぼくが普段携わるMRIを例あげますと、調整するべきパラメーターが200前後あります。
それらが掛け算で組み合わさった天文学的数の中から最適な一個の組み合わせを探すのがぼくらの仕事です。
たしかに、ある程度パターン化したものは存在しますが、本当にちょっとした工夫を加えるだけで今まで見たことないような画像を撮ることが可能になったりします。
そして、そういった工夫を学会や研究会で発表し色々な方々に利用してもらう。
そうすると、自分の仕事が一人歩きして、どんどん社会の役に立ってくれます。
それは技術職として本当に幸せなことです。