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放射線技師の仕事は準備と一瞬の機転が命です

平成最後の月9 ラジエーションハウスがいよいよ始まります。

テーマは画像診断。

放射線技師(窪田正孝さん)と放射線科医(本田翼さん)がメインキャストとなっており、

今までの医療ドラマでは取り上げられなかったテーマです。

今回は、現役の放射線技師であるぼくが、実際の医療画像撮影について解説します。

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ぶっちゃけですが、ほとんどの場合、撮ること自体は簡単です。

こんなことを言うと、袋叩きにされそうですが、あえて。

ぶっちゃけ、ほとんどの患者さんで撮影に苦慮することはなく、

全体としては、画像検査自体はとても簡単です。

 

最近の画像診断機器は本当に便利になっていて、

我々、放射線技師の仕事もだいぶ楽になりました。

健康診断でよく撮影される胸部写真を考えてみます。

胸部写真 レントゲン

昔は全部アナログ式です。

X線の強さ、量(撮影条件)を患者さんの体型に合わせて、

技師がその都度合わせていたそうです。

フィルムのアナログなので、毎回、現像という作業が入ります。

 

一方で、現在はおおまかな体型に合わせた撮影条件を機械に入れておいて、

体型に合わせてそれを選択し、撮影するだけ。

X線の量の細かな調整は機械がオートでやってくれるし、

フルデジタルで処理されるので、撮影した数秒後にはモニターで確認できます。

全くの新人でも、教えて30分後には一人で撮影できるようになります。

 

また、僕が専門とするMRIも同様で、人間の頭および脳の形状を装置に機械学習させることで、

自動的に位置合わせをしてくれます。

なので、こちらも新人でも1時間程度練習すれば撮像できるようになります。

 

ただし、準備がきちんとされていればです。

上記の通り、簡単に撮るには撮れますが、

「それが適正な画像かどうか?」は、また別の話です。

我々は、どんな場合でも“適正な画像”が得られるように準備をし、

装置にその条件を入れて対応するわけです。

放射線技師の仕事は準備がかなりの割合を占める

ぼくはそう考えています。

 

ぼくが、唯一得意とするMRIで考えます。

まず第一に、実は装置の特性もまちまちです。

もっとも多く出回っている装置は1.5TeslaのMRI装置ですが、

1.5装置であっても、装置の新しい、古い、

また、メーカーや搭載されているオプションによって、

同じ1.5TeslaのMRI装置でも出てくる画像には雲泥の差がつきます。

病院のホームページなどでは「1.5Tesla装置導入されています。」とし書かれませんので、

一般の方には少し伝わりにくい部分です。

装置間での差が可能な限り出ない様に、

そして、古い装置であっても性能を最大限引き出せる様に、

放射線技師は日々、調整をしています。

 

また、MRIは必ず何種類かの画像を取得します。

それぞれに特徴があるので、お互いを比較しながら診断に至ります。

ひとつずつの撮像条件をシーケンス

シーケンスを組み合わせたものをプロトコール、と呼びます。

 

MRIで撮像条件を準備する時は色々なことを考えますが、

主なところは、以下の様な感じです。

  • 装置の特徴
  • 画質
  • シーケンス一つ一つの撮像時間
  • プロトコール全体での撮像時間
  • 患者さんが動いた時の対処

などなど

これらのことを鑑みながら、装置の能力を最大限に患者さんに還元できるよう、

夜な夜な機械の中身を調整するわけです。

それには途方も無い時間と労力がかかります。

この作業をする期間ははっきり言ってブラックな職業です。

エキスパートとビギナーの差は機転と準備の質です。

前述の通り、準備をしっかりとしておけば、

ほとんどの場合、検査はスムーズに終わります。

ですが、一筋縄ではいかない検査も確実に存在します。

またMRIを例にとりますが、以下の様な場合の検査は難しいです。

  • 患者さんが動く(痛みや、意識が不明瞭など)
  • 撮像対象がとても大きい、もしくは小さい。(肥満 or 細かい部位の検査)
  • 検査対象の部位に金属がある。
  • 非典型的で稀な疾患
  • 症状はあるけど、明らかな病変が見つからない方

肌感覚ですが、およそ1〜2割くらいの患者さんが何かしらの工夫が必要になります

こういった患者さんには、その都度機転を効かせた対応が必要です。

ただし、機転を効かせるにも、やはり準備が大切です。

 

エキスパートの方は、こういった患者さんに対処するためのテクニックをいくつも準備しています。

そして、それらを頭の中で整理整頓しています。

なので、困った時に適切なタイミングで適切な技術を選択して対処してできるわけですね。

 

ちなみに第一回では、主人公 伊織はMRIの画像がうまく出なかった部分を、

位相マップを上手に使って画像を調整し、正しい診断に結びつけました。

今後も、おそらくこういった場面がドラマでも、たくさん出てくることと思います。

 

そして、そういった適切な準備をするためには相当な時間を要しますし、

日々進歩する医療機器の情報収集も大切な仕事になります。

患者に対峙するだけではなく、これら全てが放射線技師の重要な仕事だと思ってます。

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ということで、今回は放射線技師の実際の現場の様子を少しだけお伝えしました。僕らの相違工夫がドラマを通じて少しでも伝われば幸いです。