【ラジエーションハウス 解説 第5回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり) -大量のデータは撮った後の方が大変-

画像診断、そして、どマイナー医療職の放射線技師をテーマした平成最後の月9ドラマ ラジエーションハウスが放送されています。

CTやMRIなどの精密医療機器、そして数々の専門用語が飛び交っています。

一般の方にもわかりやすい様に現役の放射線技師(@medical_presen)が感想と解説を述べます。

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第5回のテーマは??(ネタバレ注意)

今回のテーマは原因不明の死亡に関するAutopsy imaging(Ai)でした。河原で1人で遊んでいた中学生が倒れた状態で発見された。体にはいくつかの擦過傷があるものの、死因となるような大きくかつ目立った外傷はなし。また、突然死の原因となるような既往歴もなし。体表からの観察では限界があるため、体を傷つけることなく臓器を観察できるCTを用いたAiを行った、、、、という流れです。

 

Aiの詳細について前回の記事をご参考ください↓

【ラジエーションハウス】勝手に予習【Aiってなに??】唯織が撮って、六郎が観る??
画像診断、そして、どマイナー医療職の放射線技師をテーマした平成最後の月9ドラマ ラジエーションハウスが放送されています。次回、第4回のテーマは、Ai(Autopsy imaging)です。少し特殊な画像診断なので、一般の方にもわかりやすい様に現役の放射線技師(@medical_presen)が予習となる解説をします。

基本的には全身のCTを撮影します。それにより、出血であったり、臓器の状態であったり、骨折であったり、様々な所見を確認することが可能です。また、解剖にまわる場合にも、直前の体内の情報があれば、作業効率は上がると考えられます。

今回の“スーパー技術”

今回は、唯織の圧倒的な読影スピードですね。

全身をスキャンすると相当な枚数の画像になります。今回は2,000枚といっていました。その後、各種の画像処理が入るのでもっと増えることになる思います。画像枚数=読影する放射線科医の仕事量です。近年は、装置の進歩に伴って画像が薄く細かく撮れるようになっており、一回の検査で得られる情報量は増加の一途です。放射線科医はどんどん仕事が増えている、と考えられます。

また、得られた画像データを捌くスピードも放射線技師の力量の一つです。Aiの撮影後、手分けして、”画像処理”に入りました。今回はこの画像処理などについて解説します。

ドラマ内の補足が必要かもと感じた部分

MPRと3D

CTを撮影後、MPRと3Dの作成に入りました。その解説です。

MPR

MPRとはMulti Planer Reconstructionの略です。日本語では多段面再構成といいます。この技術を使うと、色んな方向から体内を観察できます。

 

基本的にCTは患者さんの足側から観た“輪切り”の画像です。近年のCTでは、1mm以下の厚みでスライスできるので、この薄いスライスのデータを集めること(ボリュームデータという。)で、どの方向から観ても綺麗な画像を作ることができます。

3D再構成

MPRと同様にボリュームデータをワークステーションというハイスペックPCを用いて3次元化していきます。骨は簡単に3次元化できます。さらに、造影剤を使用することにより、脳血管を始め、様々な部位の3次元画像を作ります。

血管の手術のみではなく、がんの手術の際にも腫瘍と周囲の血管との位置関係の把握を目的に3D処理し、手術シミュレーションに用います。綿密な手術計画は、手術時間の短縮に繋がるので、間接的にですが放射線技師も手術に貢献することができます。

ちなみに、3D-CTは、作成した放射線技師の美的センスがとても出るので、新人の才能を図るのにうってつけです。

 

3D-CTが頻繁に使われる部位

  • 骨折
  • 脳血管
  • 心臓(冠動脈)
  • 大動脈
  • 肺がん術前
  • 腹部血管(肝臓、腎臓、膵臓)
  • 胃、大腸など消化管

 

脳動脈瘤の3D-CT(中央)とMPR(右側)

CT 三次元 MPR

重松 良典,他.脳・神経領域のMDCT.

【ラジエーションハウス 第1回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり)
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【ラジエーションハウス 第2回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり)
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【ラジエーションハウス 第3回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり)
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【ラジエーションハウス 第4回】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり) -写っているものは全て観る姿勢が大切-
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コンベンショナルとヘリカル

今回Aiは全身のヘリカルスキャンに加えて、脳と心臓をコンベンショナルスキャンで撮りました。それについて解説します。

 

CTはこんな感じの機械です。

 

CT ラジエーションハウス

CTの撮影方法は“コンベンショナル”“ヘリカル”があります。基本的には、ヘリカルで撮ることが多いです。ヘリカルは寝ているベッドがスーッと動きながら撮影する方法です。ヘリカルスキャンの開発により、撮影時間が圧倒的に短くなり、1回の息止めで、胸部や腹部を撮れるようになりました。また、MPRや3D画像もヘリカルスキャンがあってこそのもので、この技術はCTの世界の一つのブレイクスルーとなりました。しかも、ヘリカルスキャンは日本の放射線技師が発端となり、東芝との共同研究で開発されたと聞いています。素晴らしいことですよね。自分のこのように後世に残る仕事ができればな、と憧れます。

 

コンベンショナルは“従来法”というように、方法としては古い方法で、1回撮影して、ベッドが少し動いて、また、撮影して、少し動いて、、、、それの繰り返しです。時間もかかります。

 

では、なぜこのような面倒な方法で撮るのか??こちらの方が画像が綺麗だからです。ヘリカルスキャンはベッドが動く分の補正をしなければいませんが、コンベンショナルは、その必要はありません。また、X線の量も多くかけられます。突然死の原因は、脳と心臓に原因があることが多いのでその部分を詳細に撮るという目的があるわけです。このように、新旧の撮像方法の長所を組み合わせながら真実にせまろうとしています。

 

ということで、今回はAiがテーマだった第5回の解説でした。なぜか、推理物テイストの脚本で賛否が色々とでておりますが、掘り下げると色々なことが隠れている回で、放射線技師の仕事をしていないと気づかないマニアックな部分です。是非、見直す時の参考にしてください。