【ラジエーションハウス 特別編】 現役の放射線技師による感想と解説(ネタバレあり)

画像診断、そして、どマイナー医療職の放射線技師をテーマした平成最後の月9ドラマ ラジエーションハウスが放送されています。

CTやMRIなどの精密医療機器、そして数々の専門用語が飛び交っています。

一般の方にもわかりやすい様に現役の放射線技師(@medical_presen)が感想と解説を述べます。

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特別編のテーマは??(ネタバレ注意)

先週で最終回と思っていたラジエーションハウス ですが、なんとすぐに特別編が組まれておりました。“えっ、もう??!!”って感じもしないでもないですが、視聴率含めドラマが成功に終わった証拠かと思います。

 

今回は、唯織がアメリカへ向かう機内での話と、甘春総合病院のお話は並行して進んでいきました。あと、全体の回想シーンですね。意外と忘れている部分も多かったな〜、と個人的には感じました。

今回の症例は、機内で突然苦しみだした外国人の男性、呼吸が苦しくなった機長、そして、耳鳴りが慢性化している高校生でした。

では、それぞれに解説していきます。

突然苦しみだした外国人の男性→遅発性の造影剤副作用

一番初めの外国人男性は造影剤の遅発性副作用とのことでした。前日にCTの検査を受けているためヨード系造影剤の副作用と考えられます。注意点を含め以下に解説します。

ひとえに造影剤といっても、実は色々な種類があります。一般的なものは以下の通りです。

  • 胃バリウム検査→硫酸バリウム
  • 造影CT→ヨード系造影剤
  • 造影MRI→ガドリニウム系造影剤

このように、主成分が全く違うので造影CTで副作用が出たからといって、造影MRIでも副作用がでるわけではないのではありません。医療者でもこの辺を混同している方が多いように感じます。

発生頻度としてはCT > MRI > >>バリウムです。造影CTでの副作用の発生頻度は数%と言われています。(文献によって結構違う、、、)

 

確実に言えることは、ヨード造影剤の副作用は決して珍しいことではない、ということ。というより、院内で起きるアナフィラキシーショックでは最もメジャーなところかもしません。実際に、ぼくも造影剤の急性副作用でコードブルーをお願いしたことが2度ほどあります。大病院では、100件/日以上の造影検査をする施設もありますので数%の発生率ということは、その施設で1日に1件は何かしらの副作用が出ていることになります。

症状は様々で、軽度のものはくしゃみや咳などが一時的に頻回になる程度ですが、ひどい物では血圧が低下したり、喉に強い浮腫が出て呼吸ができなくなったりなど、生命の危機となる症状もあります。

 

したがって、CTの仕事をするときは、いつもこの副作用のリスクを頭に入れながら仕事をする必要があります。また、CT室では副作用の対策をマニュアル化し、迅速な処理ができるように準備しておく必要があります。

MRIでの副作用は、症状はCTの副作用と同様ですが、発生頻度はCTより少ないです。さらに、胃バリウムで副作用が出る方は、今までみたことがありません。胃バリウムで造影剤が問題になるのは、“誤嚥”ですね。気管支に入ると肺炎の原因になります。高齢者にとって肺炎は重大の病気ですので検査時には注意が必要です。

 

遅発性の副作用は、検査後数時間から10日くらいと言われており非常に幅があります。また、発生の仕組みもあきらかになっていません。ただし、即時性の副作用と同様の症状が重いものがあります。

今回のケースでは、皮膚の発疹、呼吸困難などの症状でした。典型的な副作用の症状と思います。唯織は放射線技師として、即時性の造影剤服用を何度か経験しており、それが活きたケースではないかと考えられます。

 

呼吸が苦しくなった機長→肺塞栓症

呼吸が苦しくなった機長は肺塞栓症との診断でした。

肺塞栓症というと、俗に言う“エコノミークラス症候群”。こちらの方が一般に浸透しているかもしれません。その病気はなんらかの原因で、肺への血液供給する血管が血栓で詰まってしまう病気です。そうすると、肺での酸素交換ができませんので、体に酸素が供給されず呼吸不全の状態になります。

 

血栓ができる原因は色々と考えられますが、“エコノミークラス”と名前がつくくらいでありまして、長時間、同じ姿勢でじっとしていると、血液の流れが滞りこそで血栓ができて何かのひょうしに肺動脈まで飛んでそこでつまる、といった具合です。

飛行機での長時間フライトの時は小まめな水分補給と、時々、椅子から立ってストレッチをしましょう。飲酒は脱水になるのでほどほどにです。

 

肺塞栓は救急や院内での急性発症の呼吸苦の際には、必ず頭に入れながら検査にあたる疾患です。緊急の時は造影剤を使用したCT検査が必要です。かなり細い血管がつまる場合もあるので、その場合は所見をひろうのが難しい場合があります。

また、がん患者さんの経過観察の時に、偶発的に発見される場合もあります。がん患者さんは血液の凝固因子がおかしくなっている場合があるので、頭の片隅にはいつもおいておく病名です。

 

ドラマの最後で機長は座って会話するくらいに回復していましたが、内服薬であんなに回復するのか少し疑問ですね〜。まあ、ハッピーエンドでなによりですね。

耳鳴りが慢性化している高校生→聴神経腫瘍

聴神経腫瘍は一般に良性の腫瘍で、徐々に大きくなっていく病気です。聴力の低下、耳鳴り、めまい、ふらつきなどの症状が主です。聴神経の周りは、色々な神経(顔面神経、舌下神経など)と血管が狭いスペースで非常に入りくんだ部位なので、高難度の手術となります。完全になおすためには手術が必要ですが、難しい手術となるので、慎重に適応が判断されます。サイズは患者さんの年齢によっては経過を診ていくのも一つの方法です。良性腫瘍なので転移など心配はありません。放射線治療も一つの方法として提案されていますので主治医とよくご相談の上治療法を検討する必要があります。

 

画像検査方法としては、MRIが最も重要な検査となります。MRIで非常に細かい画像を撮ることで神経、血管との位置関係、腫瘍の大きさなどたくさんの情報が得られます。ただし、細かく撮るには撮像時間がかかるので、そのバランスをとってシーケンスを調整しておくことが成功の秘訣です。症状からの推定が難しい病気で、通常の脳の検査の時に偶然発見されること多いです。

 

ということで、ラジエーションハウス 特別編の解説でした。終わってしまいましたね。非常に寂しいです。。。いつか、映画化とかされないかな〜??いいネタ提供できるんだけどな〜。コミックスはまだまだ続きそうので、楽しみ待ちたいですね。長文お読みいただきありがとうございました。